2019/09/18

谷町BLUE

法務局や府庁、府警などが集積する大阪の代表的なオフィス街、
谷町は谷町筋を軸として昭和の初めから大大阪の産業革命の中心を担ってきた街。
谷町6丁目から2丁目あたりにかけては昭和の高度経済成長時代に建てられた
第一世代のシブいオフィスビルが連立し、
渋めのレトロビル嗜好者にはたまらないエリアかもしれない。

この谷町筋に面した、地元では“谷三(たにさん)”と呼ばれる中心地に建つ、
昭和のオフィスビルをフルリノベする機会に恵まれ、無事竣工に至った。
元は地元ゼネコンの本社ビルとして建設され、贅沢な内外装で覆われた建物。
如何に素材を活かしつつ、現代的にモデファイするかがデザインの焦点。

若くして独立し、大きく不動産業を伸ばされているクライアントとは20年来のお付き合い。
機能部分以外の建築を全て任せていただけたからこそ、
自由闊達に現場で意見を投げ合い、より意匠性と経済性を追求した
オフィスビルに再生することが可能になった。

昭和の印象が強い花崗岩貼りの外壁は、
金属パネルを用いてより近代的な建築フォルムを協調し、
スカイラインのパラペットを利用した間接照明は、
谷町筋の夜空を切り抜くように建物を映している。
クライアントのオフィスがある3階は夕刻の退室後にブルーの灯りが谷町に漏れる。
新しく構えたオフィスにコマーシャルな存在感をもたらしたかった。
ラピスラズリのようなそのブルーはクライアントのコーポレイテッド・カラーでもあり、
ぼくはそれを“谷町BLUE“と呼びたい。

都内中心部ではすでに第三世代の建築群がひしめき合う。
一方大阪市内のオフィス街ではむしろ近代的な超高層オフィスではなく、
第一世代、第二世代のオフィスビルを有効活用してゆくリノベーションが、
大阪の経済規模に見合う効率的な都市再生のひとつの選択肢。
今回の竣工でよりその想いを確信。


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