2017/06/24

陽が通り抜ける特養ホーム

今日無事に竣工式を迎えた特別養護老人ホーム アステリスク。
たくさんの関係者の笑顔であふれている。建築をしていていちばん報われる時。
18か月前、オーナーから建築への数少ない注文をお聞きしたことをつい最近のように思い出した。
「年中陽の降り注ぐ明るい老人ホームに。」

もう20年ほど昔、オーナーとは施設建設をご一緒している。
当時の国策、ゴールドプランにより多額の建設補助金が全国の老人施設建設に付与された一環で、大阪堺市に南欧をテーマにした華やかなケアハウスをデザインする事が出来た。
しかし敷地の形状から、十分満足できる日当たりを確保しているとは言えなかった。

昨今ではこういった施設も建築費は抑制され、それらを大きくカバーできる補助金もない。
設計やデザインには新たな集客の知恵が求められる。
泉北ニュタウンの高台から田畑を見下せる、鉄骨3階建ての建築を“豪華”ではなく“木々の香る”“気品の薫る”施設にしたいと云う意図から現代数寄屋としている。

深庇やかぶりの大きいガラス手摺など、質感に頼らずフォルムで印象付けるデザインはここではうまく機能している。
これが鉄鋼造ではなかなかの苦労モノだったけど‥‥‥
ニュータウンの中に残された歴史ある地区、お屋敷に住まわってきた地域のお年寄りは日本建築を肌で知っている。
数か月もすればそんな堺の入居者に厳しく住み心地をジャッジされだろう。

玄関をくぐり注意深く空間を見渡すと、風ではなく陽が空間を通り抜けることに気付く。
入居者でけではなく施設で働く人たちにも感じてもらえるとうれしい。


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